信頼

あなたは何かものを売ったことがあるでしょうか?

つまりセールスですが、セールスという仕事ほど
顧客との信頼関係がそのまま結果に結びつく
仕事はないという気がします。

詐欺まがいの売り逃げみたいなことをする
セールスマンもいるかもしれませんが、
ほとんどの人は誠実に営業をして
お客さんに商品を購入していただいていると思います。

 

私の会社では媚びずに売り込まずに売る
セールストレーニングを提供して、
多くのセールスマンや個人事業主の方々に
成果を上げていただいていますが、

受講生に始めてお会いする時点では
セールスに対してネガティブな思い
(怖い、やりたくない、逃げ出したいなど)を
抱いている方がほとんどです。

その原因を探ってみると、
ほとんどのセールス指南書に書いてある
「信頼関係を作るにはまず褒めろ」を実践した結果、
ナメられる断られるを繰り返した結果のようです。

 

この記事はセールスマンのためだけに
書いているわけではなく、
セールスはコミュニケーションの結果が顕著に
結果として出る分野ですので例として取り上げています。

本日のテーマである『究極の信頼関係の構築法』は
セールスマンだけでなく、会社でも家庭でも
恋愛関係でもどんなコミュニケーションでも
確実に効果を生む方法です。

信頼される人間になり
人間関係をより良くしたい方は
ぜひ活用してください。

 

まず、なぜ褒めることでは信頼関係が作れないのか
からお話しします。

褒めるということを定義するならば、
『評価する』ということです。

褒める時に多く使われる代表的な言葉は、
「すごい」です。

相手の行動や相手が出した結果などに対して
「すごい」と評価します。

「こんなことができるなんてすごいですね」
「こんな成果を出したなんてすごいですね」

 

他にも、見た目を褒める(評価する)、
「綺麗ですね」「スタイルがいいですね」

能力を褒める(評価する)、
「字がきれいですね」「頭がいいですね」

性格を褒める(評価する)、
「優しいですね」「真面目ですね」

考え方を褒める(評価する)、
「向上心が高いですね」「正義感が強いですね」

 

こういうふうに褒められて嬉しくなる人はいますが、
だからと言って相手を信用するかといったら
多くの場合そうではありません。

評価(褒める)には上下関係を作ってしまうという
欠点があるからです。

評価した側の話し方や態度によって
上から目線になるか下から媚びるようになるかは
変わってきますが、どちらにしても
対等な関係は築きにくくなります。

 

評価を下すのは普通、立場の上の人が
立場の下の人にする行為ですので、
褒めた時に上から目線で言われたように
相手に取られてしまうと警戒心を強められてしまいます。

逆に、自分に取り入るために媚びていると
受け取られると、完全にナメられてしまいます。

これでは対等で信頼し合う関係からは
遠ざかってしまうのが理解できると思います。

 

また、褒めるのは誰にでもできるという側面があります。

「すごい」って、相手のことを何も知らなくても
言える言葉だと思いませんか?

ちょっと話を聞いて「すごいですね~」、
こんなの誰にでもできます。

上っ面感がハンパないのです。

「褒めときゃいいんでしょ、とか思ってんじゃないの?」
と勘繰られても仕方のないくらいに。

 

別に褒めてもいいのですが、
それだけではどうしても信頼されるには至りません。

特にセールスマンの場合には、
「上から言ってんじゃないよ」と思われたり、
気持ち良くさせた挙句にナメられて終わりなのです。

では、究極の信頼関係の構築のために
何が必要なのでしょうか。

 

それを私たちは『汲む』と呼んでいます。

相手の行動や結果を『評価する』代わりに、
相手の気持ちや信念を『汲む』のです。

相手の行動や結果を見て「すごい」「かっこいい」
「自分にはできない」などと評価するのは簡単です。

 

一方、汲むためには相手の話をよく聞く必要があります。

その行動の裏にはどんな気持ちがあったのか?
どんな信念を大切にしていたからそのような結果となったのか?

それを探るために相手の話に耳を傾け、
それが分かったら

「○○さんからは~~という気持ちが伝わってきました」
と伝えます。

決めつけたり評価するのではなく、
ただこういうふうに伝わってきたと伝えるだけです。

 

正しいも間違っているもありません。

ただあなたにはそういうふうに伝わったのですから
相手は否定することもできません。

これは『褒める』と『汲む』の大きな違いなのですが、
褒められた相手は「そんなことないですよ」と
否定できますが、
汲まれた場合は否定も謙遜もできないのです。

この聞き方と伝え方ができるようになると
相手は心を理解してもらえたと感じ
あなたのことを心底信頼するようになります。

 

たとえば、あなたがちょっと話しただけで
「それはすごいですね」「さすがですね」などと
表面的に褒めてくる相手と、

あなたの話に質問を交えてじっくり耳を傾け
「○○さんからはみんなが楽しくいられるように
協調性を大切にする気持ちが伝わってきました」と
あなたの行動の裏にある信念を読み取って汲んでくれる相手、

どちらを信用できますか?

どちらの人と長い時間を過ごしたいと思うでしょうか?

 

セールスをする際には汲むことができるだけで
顧客にとってただのセールスマンから
信頼できるアドバイザーへと変身することができます。

誰でも売り込まれることは避けようとしますから、
ただのセールスマンよりも、
自分のことを理解してくれて信頼できるアドバイザーの
言うことを聞きたいと思うのです。

 

褒めるのはササっとできて簡単ですが、
汲むのは時間がかかりますし容易いことではありません。

だからこそ、やる価値があります。

時間をかけて相手の心に耳を傾けても
それ以上の信頼関係というリターンがあります。

そして何よりも重要なことは、
信頼関係を築きたいと思うほど大切な相手ならば
表面的なコミュニケーションで済ませてはいけないのです。

 

大切な人とより良い関係を築くために、
相手がどんな信念を持って、
何を大切にしているのか、
よく聞いてあげてください。

そして評価を下さず、
ただ理解し伝えてあげることです。

そうすれば、あなたは必ず信頼される人間となります。